肝臓の検査数値

これって何?血小板・HBs抗原、HBs抗体、HBe抗原、HBe抗体

検査

病院などで血液検査すると、血液検査の結果表を受け取りますよね。専門的な用語がズラッと並んだ検査結果表を見ても、何がなんだかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

これらが何を表しているのか、ひとつずつ解決していきましょう。

血小板

血液中に存在する血小板は、出血が起こったときに傷口をふさいで血を止める働きがあります。傷口が治るころにできるかさぶたも血小板の働きによるものです。

血小板は、骨髄の中にある巨核球の細胞質がちぎれてできた物質で、核を持たない細胞質のみから構成されています。この過程の中で肝臓も関わってきます。血小板の寿命1週間ほどと短く、寿命が尽きると脾臓で破壊されます。

肝臓と血小板

血小板の基準値は14~34万μlです。この基準値を下回ることを「血小板減少症」と言い、肝臓が問題を抱えている可能性があります。

肝炎や肝硬変が進むと、肝臓内の繊維物質が増え、細胞が硬くなる「肝臓の線維化」が始まります。繊維化が進行すると、血小板を正常に作ることができなくなってしまうのです。すると、肝臓の血流が悪くなり、血小板が破壊され、数値が下がるという悪循環が起こります。

もちろん血液の疾患でも血小板の数値は下がりますが、肝臓の線維化を判断するためのひとつの目安になっています。進行度合いの最終的な判断は、肝臓の一部を切り出して診断する肝生検で行われますが、肝生検となると負担がかかるため、前段階として血小板の数値を見て肝臓の線維化の進行度合いを予測しているのです。

肝硬変のほかに、ウイルス肝炎や肝がんも血小板の減少と関係しています。肝臓の線維化が進行すると肝がんを発症する確率が高くなると言われるC型慢性肝炎の人は特に、肝がんを早期発見するためにも血小板の数値を気にかけてチェックする習慣をつけましょう。

また、血小板が減少すると、紫斑ができる、血が止まりにくくなるなどの変化が見られるため、普段の生活の中で気づくことができます。些細な変化を見逃さず、安易な判断をせず、検査を受けることが大切です。

B型肝炎ウイルス検査

HBs抗原、HBs抗体、HBe抗原、HBe抗体。どれも似たような検査名ですが、これらはすべてB型肝炎ウイルスに関する検査です。抗原は、細菌やウイルスなど体にとって異質な物質を指し、抗体は抗原を無毒化して排除するための物質を指しています。

では、それぞれの検査名から何が分かるのかを見ていきましょう。

  • HBs抗原…現在B型肝炎ウイルスに感染しているかどうか
  • HBs抗体…過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがあるかどうか
  • HBe抗原…現在感染しているB型肝炎ウイルスの感染性の強弱
  • HBe抗体…過去に感染したB型肝炎ウイルスの感染性の有無

結果は、+か-で表されます。+は陽性、-は陰性です。

たとえば、HBs抗体だけが+の場合、過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがあるが、現在は治っているということが分かります。HBs抗原とHBe抗体が+の場合は、まだB型肝炎ウイルスを排除している過程であることが分かりますが、多くは自然治癒するため、経過観察です。これらは特に心配のない結果ですが、注意したいのがHBs抗原とHBe抗原が+の場合です。

この結果から、B型肝炎ウイルスが増殖中であることが分かりますが、自然治癒することもあれば慢性肝炎へと移行することもあるため、精密検査が必要になります。

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