アルブミンとは、人間の血液中に含まれるタンパク質の一種です。
肝臓の検査結果などで、その名前を聞いた方もいらっしゃるかもしれませんね。
「知っているけど、どんなものかはわからない」
「検査数値をどう判断したら良いのか、わからない」
そのような方の為に、
ここでは、アルブミンの基礎知識を中心にお伝えしていきます。
タンパク質・アルブミンとは
人間の血液中には、様々な種類のたんぱく質が含まれています。
それらは「総たんぱく」と総称されています。
その中でも約67%を占めるたんぱく質がアルブミンで、肝細胞のみで作られています。
その機能は、主に以下の二つです。
(1)血液の浸透圧の調整
(2)体内の様々なものと結合し、目的地まで運ぶ
アルブミンは水分を維持し、体内の血液を正常に循環させるため、(1)のような機能を持っています。
またアルブミンは、(2)の働きをするように、他の様々なものと結合する力が強い物質でもあります。
カルシウムや亜鉛などの微量元素や、脂肪酸、酵素、ホルモンなどと結合出来るそうです。
これらを、体内の必要としている部位まで運んでゆきます。
そして、毒素など、有毒なものと結合して中和する作用もあります。
アルブミンは物質の保管庫の働きがあり、物質がアルブミンと結合することで、その物質の血中濃度を下げます。
このため毒物への緩和(中和)作用が働くと考えられています。
アルブミンの数値について
アルブミンは、食事によって得たタンパク質などを素に肝臓で作られています。
そのため、食事の吸収不良や絶対量の不足があると、生成される量が少なくなります。
身体の栄養状態の指針としても、アルブミンは目安にされます。
また、何かの疾患などで肝機能が低下すると、肝細胞の働きが下がり、正常な量のアルブミンが作られなくなってしまいます。
この疾患は、例えば、肝炎や肝硬変である可能性があります。
慢性肝炎や初期の肝硬変では、あまり数値に変化がみられません。
しかし、数字上は小さな変化でも、肝臓の疾患はかなり進行している場合があります。
前回の検査結果とよく比較してほしい項目です。
総たんぱくの基準値は6.7~8.3g/dL、アルブミンの基準値は3.8~5.3g/dLとされています。
これらを下回ってしまうと、肝がんや肝硬変、劇症肝炎の可能性があります。
また、アルブミンが尿中に漏れ出し、血液中のアルブミンが減少してしまうネフローゼ症候群という疾患の可能性もあります。
高脂血症と合併することも多いので、コレステロールが高い人は特に注意が必要です。
肝臓の異常に気付きやすい!コリンエステラーゼとは
コリンエステラーゼは、肝細胞だけで産出される酵素です。
コリンエステルという物質を分解することによって、タンパク質を作りだす働きをしています。
略してChEとも呼ばれ、以下の二種類に分けられます。
・真性…神経組織や筋肉、赤血球中に含まれる。
・偽性…肝臓・すい臓・腸・肺と、血清中に含まれる。
病院で検診や検査をされるのは、偽性の方となります。
【コリンエステラーゼ検査からわかること】
コリンエステラーゼは、先述したアルブミンと同じく、肝臓のみで作られます。
そのため、両者の数値は、ほぼ平行して動いていくのだそうです。
また、コリンエステラーゼは、他の肝機能検査より早く、異常を発見することが出来るとされています。
これらの特性を組み合わせることにより、コリンエステラーゼの検査は肝臓の状態を調べるのに、
とても重要となっています。
コリンエステラーゼの調べ方
基本的に、コリンエステラーゼは血液検査によって調べられます。
数値は一日の内で大きく変動したり、運動の影響は見られません。
しかし、睡眠薬や緑内障治療薬などで数値が下がることもあるため、使用している場合は申し出るようにしましょう。
数値の基準値は以下の通りです。
・男性…234~493IU/L
・女性…200~452IU/L
この基準を下回った場合は、肝機能が低下している可能性があります。
基準値を上回っている場合は、脂肪肝の可能性があります。
コリンエステラーゼは、脂質の代謝にも関係があるためです。
脂肪肝の場合には、その脂質を分解しようとコリンエステラーゼが多く作られてしまうのです。
異常が出たら医師に相談を
基準値を参考に、大きく変動があった場合は肝硬変や、肝炎などにかかっている可能性もあります。
早めに医師に相談し、対応していきましょう。