肝臓の疾患

肝硬変

病院での検査

慢性肝炎の進行やお酒の飲みすぎなどによって、肝細胞の破壊と再生が繰り返されると、肝臓は線維化してしまいます。
線維に囲まれた肝細胞は硬くなり、本来の働きができなくなってしまいます。

このような状態を、肝硬変といいます。
再生能力が優れている肝臓でも、一度線維化してしまうと、元には戻れません
ですので肝硬変は、他の肝疾患が進行した場合の最悪のパターンといわれています。
肝硬変の原因の五割がC型肝炎、二割がB型肝炎といわれています。

お酒を飲むと肝硬変になるといわれることもありますが、アルコール性肝硬変は二割弱ほどです。
お酒を飲まなくても、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が原因で肝硬変になってしまうこともあります。
他にも、自己免疫性肝炎や原発胆汁性肝硬変などの、自己免疫性肝疾患が原因となることもあります。
肝臓は、狭い部分に障害が起こっても、他の部分がその部分の分までカバーして働くことができます。
ですので、初期の肝硬変では軽い倦怠感や腹痛、微熱はありますが、ほとんど自覚症状がありません。

この時期を、他の肝細胞が働きを代償してくれているので、代償期や代償性肝硬変ということもあります。
しかし肝硬変が進行すると、他の部分がカバーしきれなくなり、線維化が進んでしまいます。
そうなると黄疸や腹水などの症状が表われ、高アンモニア血症にもなります。
この時期を、他の肝細胞が働きを代償できなくなってしまっているので、非代償期、非代償性肝硬変ともいいます。

肝硬変になると、無数の血栓ができ、血流が悪くなります。
そうして門脈の血圧が高くなってしまうと、門脈圧亢進症を発症します。
これによって血流が肝臓内を通らずに、他の血管へ流れる場合もあります。
そうなると、代わりの血管が血流の増加に耐えられず、食道静脈瘤や腹壁静脈の怒張、痔核になる可能性が高まります。
また、アンモニアなどの毒素を含む血液が、肝臓を通らないことで解毒されず、そのまま全身を廻ってしまい、肝性脳症の原因にもなってしまいます。

この食道静脈瘤の破裂、肝性脳症、そして肝がんが、肝硬変の合併症での三大死因とされています。
肝硬変の診断は、血液検査とCTや超音波画像による検査を組み合わせることがほとんどです。
そこで肝硬変がほぼ確定すると、肝臓の一部を採取する生体検査を行います。

肝硬変の治療は、アルコールなどの摂取をやめるほか、薬物療法も行ないます。
肝がんなどの合併症を起こしやすい病気でもあるので、早い段階で肝硬変の治療を始めることが重要です。

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