ヘモクロマトーシスとは、鉄過剰症の内の一種です。
先天性と後天性のものがあり、どちらも肝硬変などの、肝機能障害の発症につながることがあるそうです。
目次
ヘモクロマトーシスって?
ヘモクロマトーシスとは、鉄過剰症の内の一種です。
染色体劣性遺伝による先天性のものと、他の病気の合併症や生活習慣などが原因となる後天性のものがあります。
この病気のポイントは、鉄の過剰摂取によって諸臓器が機能障害を起こしてしまうことです。
例えば、鉄分の分解を行う肝臓やすい臓などが、その働きを阻害されてしまいます。
しかし、しっかり気を付けて生活をすれば、防ぐことの出来る病気でもあります。
また、発症してしまった場合も、有効な治療法を受けることが出来ます。
ここではヘモクロマトーシスについて、基礎的な知識をお伝えすると共に、効果的とされている予防法についてもご紹介していきます。
鉄過剰症・ヘモクロマトーシスとは
(1)原因について
ヘモクロマトーシスを含む一般的な鉄過剰症は、体内に鉄が過剰蓄積されると起こる病です。
この過剰蓄積は、食事やサプリメントでの鉄分の摂りすぎや、病気や怪我の治療で輸血を多量に行った場合、そして大量飲酒などによっても、引き起こされるそうです。
ヘモクロマトーシスの場合は、以上のような後天的な原因と、条染色体の劣性遺伝により、両親から病因遺伝子を受け継いで発症する場合があります。
ヘモクロマトーシスの病因遺伝子は、HFE遺伝子と呼ばれるものです。
日本人では、約2000人に1人が、これを保有していると推測されています。
(2)症状について
体内に蓄積し過ぎた鉄は、肝臓やすい臓、皮膚、関節や下垂体、そして精巣などに付着し、それらの働きを阻害します。
鉄はそもそも、身体に不可欠な要素ですが、摂りすぎると、諸臓器の細胞にダメージを負わせ、臓器不全や内分泌・発育障害などをもたらします。
ですので、私たちの身体は常に、鉄の量や分布を制御し、代謝を行っています。
健康な成人男女では、約1~3gの鉄が体内にあるとされています。
しかし、先天的にHFE遺伝子を持っている方は、他の人たちと比べて鉄の吸収が上手に出来なかったり、鉄の代謝機能に異常があったりして、少しずつ体内に鉄を貯め込んでしまいます。
その結果、鉄の代謝や分解を行う肝臓などの臓器に負荷がかかり、例えば肝硬変や糖尿病、ヒフの色素沈着、ときには心不全などの発症につながってしまうことがあるそうです。
(3)発症までにかかる時間
体内の組織に鉄が付き、蓄積後に症状が出るまで、約20~40年の時間がかかると考えられています。
そのため、40~60代での発症が多いそうです。
(4)合併症
ヘモクロマトーシスには、以下の合併症状を伴う場合があります。
- 甲副状腺・下垂体機能低下
- 性機能低下(体毛脱落・無月経・睾丸委縮など)
- 関節の痛み
現在の治療法
ヘモクロマトーシスと診断された場合、
(1)蓄積した鉄の除去治療
(2)臓器障害や合併症に対する治療
以上、2種類の治療を同時に行っていくのが一般的のようです。
ここでは、(1)を主に取り上げ、詳しい治療法をお伝えしていきます。
(1)蓄積した鉄の除去治療
体内に溜まってしまった鉄を取り除くには、大きく分けて2つの、具体的な治療を行います。
・瀉血
点滴などにより体内の血を抜く治療法です。
血を抜くことで、身体に備わっている、新たな血液を生み出そうとする働きを促し、その際に体内にある鉄を材料として使わせる目的があります。
安価かつ、効果的に蓄積した鉄を減らすことが出来ます。
・鉄排泄促進薬の摂取
鉄排泄促進薬、もしくは鉄キレート剤と呼ばれる薬を経口摂取します。
最近は、デフェラシロクスという薬が多く使われているそうです。
こちらは、飲み過ぎにより必要分も排出してしまう可能性もあるため、経口量は医師からの指示に従うようにしましょう。