E型肝炎は、ウイルスに感染している人の便で汚染された水や、食品を口にすることで感染してしまいます。
E型肝炎は潜伏期間が二週間から七週間と長いため、原因の水や食品を特定することが難しく、感染者の増加を食い止めるのが難しいとされています。
E型肝炎は小児に少なく、15歳以上が感染しやすい疾患です。
潜伏期間が終わると急性肝炎を発症し、高熱や黄疸が出たり、食欲不振、腹痛や胸の張りも見られます。
それらは自然に治癒することがほとんどで、通常は致死率が低いとされています。
しかし女性が感染してしまうと、劇症肝炎を発症する確率が高まります。
特に妊婦の場合は重症化しやすく、E型肝炎に感染した妊婦の約二割が死亡するという結果もあるので、かなり危険です。
妊婦の他に、高齢者が感染した場合も劇症肝炎になりやすいので、注意が必要です。
E型肝炎の治療は、A型肝炎と同じく安静にしていることが重要です。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律において、他のウイルス性肝炎が五類感染症なのに対して、A型肝炎とE型肝炎だけが四類感染症に分類されています。
四類感染症には他に、黄熱やマラリアがあることからも、E型肝炎の危険性がわかります。
E型肝炎はワクチンがなく、予防法がまだ確立されていません。
ですので、感染者が多い地域に旅行などで行く場合は、生水を避け食事にも気をつけることで、予防することが大切です。
E型肝炎は、暑い気候の発展途上国では普通に見られます。
特に東南アジアやアフリカ、インドなどが主な流行地です。
大量の雨やモンスーンの後などに、上水と下水の機能が混乱してしまうと、大流行してしまいます。
最近では2004年にアフリカで大流行があり、約8,200人が感染し、そのうち約130人が死亡したという報告があります。
日本では上下水道の整備がしっかりしているので、そこからの感染はありません。
しかしE型肝炎は、動物からも感染する人畜共通感染症なので、動物の肉を食べて感染することがあります。
特にシカやブタ、イノシシの内臓から感染することが多く、野生の生肉の他、市販されているものでも安心はできません。
実際2004年には、販売されていた豚のレバーを食べて集団感染した事件もあり、E型肝炎が知られるきっかけになりました。
これらの理由でE型肝炎ウイルスに感染した人からの輸血で、感染が広まった例もあります。
症状が出ない潜伏期間が長いので、シカやブタ、イノシシの内臓を食べたら、その後しばらくは献血を控えたほうが良さそうです。