肝炎でよくしられているのはA型、B型、C型の三つだと思いますが、実はD型肝炎もあります。
他の肝炎と同じように、D型肝炎ウイルスに感染している人の血液を介して感染、発症する病気です。
麻薬などの注射器の使いまわしや、輸血が主な原因です。
発展途上国などでは、母子感染もあるようです。
D型肝炎ウイルスは不完全な物質なので、それだけでは存在したり、増殖することができません。
そこで人間の場合は、B型肝炎ウイルスと共存します。
ですのでD型肝炎は、B型肝炎に感染している人が発症するということです。
D型肝炎ウイルスの発見は、1977年にB型肝炎の患者の肝細胞から、B型肝炎ウイルス以外のウイルスが見つかったことが発端です。
δ因子と呼ばれたそのウイルスは、後にD型肝炎ウイルスと名づけられ、それによって発症する肝炎をD型肝炎と呼ぶことになりました。
D型肝炎ウイルスだけを調べることは難しいので、最初の診断ではB型肝炎ウイルスに感染しているかを調べます。
もしB型肝炎ウイルスに感染していたら、D型肝炎の危険もあるので、精密検査をするわけです。
アジアはB型肝炎が多いといわれていますが、D型肝炎は少ないようです。
D型肝炎は、島などの狭い地域で感染しやすく、中近東や中南米の他、グリーンランドでも感染が広がっている肝炎です。
日本は輸血や献血の技術が上がり、制限もできたので、D型肝炎の割合は、B型肝炎キャリアの0.4%以下と、少なくなっています。
D型肝炎になってしまうには、主に二種類の場合があります。
一つ目は、輸血などでB型肝炎とD型肝炎が、同時に感染した場合です。
これを同時感染といいます。
この場合、B型急性肝炎が発症すると、D型急性肝炎も同時に発症することがほとんどです。
症状は重いこともありますが、B型急性肝炎の期間が短いため、そちらが治ると、一緒にD型急性肝炎も治ります。
もう一つの場合は、B型肝炎のキャリアがD型肝炎に感染した場合です。
これは重複感染と呼びます。この場合が一番危険で、B型慢性肝炎になる確率が九割近くにまで高まります。
単独のB型慢性肝炎よりも症状が重くなる危険性もあります。
肝硬変や肝細胞がんを引き起こす可能性も高くなるので、注意が必要です。
D型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスと共に存在するので、D型肝炎の治療として、B型肝炎の治療と同じ方法で、B型肝炎ウイルスを排出することから始めます。
治療が効いてB型肝炎ウイルスがなくなると、D型肝炎ウイルスも増殖できなくなるため、D型肝炎も治癒することができます。
一度完治すると、再発の可能性はほとんどないといわれています。