肝臓の疾患

治る病気になりつつあるC型肝炎

血液

全国での感染者数は190~230万人いると推定されるC型肝炎。この中には、C型肝炎に感染していることを知らずにいる人や知っていても治療を受けずにいる人も多くいます。

さまざまな新薬が開発されている現在。C型肝炎は治る病気になりつつあります。正しい知識を身につけて、適切な対処をしましょう。

C型肝炎の感染経路

C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染している人の血液が体内に入ってくることによって感染します。かつては、輸血や血液製剤による感染が多く見られましたが、現在では輸血や血液製剤による感染の確率は極めて低くなっています。

現在では、どのような感染経路が考えられるのでしょうか。

  • 覚せい剤の注射針の使い回し
  • 剃刀や歯ブラシの共有
  • 入れ墨
  • ピアスの穴を開ける
  • 母子感染
  • 性行為
  • 輸血や血液製剤
  • 臓器移植

これらの感染経路が考えられますが、およそ半数の人の感染源は特定できないのが現状です。また、C型肝炎ウイルスは、ほかの肝炎ウイルスと比べ、血液中のウイルスの量が少ないため、感染力が低く、入れ墨や注射針の使い回しで感染する人はあまり多くないと考えられています。

C型肝炎の症状

感染者のおよそ半数は急性肝炎になります。急性肝炎で現れる症状を見てみましょう。

  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 全身の倦怠感など

C型肝炎の場合、ほかの肝炎と比べると軽い症状ですむ傾向があることが特徴です。

しかし、急性肝炎の症状が出ないままに慢性化することも多く、C型肝炎感染者のおよそ7割が慢性化すると言われています。

一般的には、慢性化すると感染からおよそ20年で肝硬変、さらに5~10年後には肝がんへと進行すると言われています。肝がんの7~8割は、C型肝炎からの発症だと言われていることからもC型肝炎の恐ろしさが分かるのではないでしょうか。

C型肝炎の治療法

しかし、C型肝炎を必要以上に恐れることはありません。かつてはなかなか治らないと言われていたC型肝炎も現在では、「コントロールできる」または「治る」病気になってきています。

現在、C型肝炎の治療法は2種類あります。具体的に見ていきましょう。

抗ウイルス療法

C型肝炎の治療にもっとも有効的な治療とされているもので、ウイルスを抑える治療です。かつてはインターフェロンと呼ばれる注射を中心とする治療でした。現在では、さまざまな経口薬が開発されており、注射と経口薬を同時に用いる治療が主流です。

また、これまでインターフェロン治療が受けられず諦めていた人に対する新薬も次々に開発されており、ひとりひとりに合った治療法を選べる時代になっています。

肝庇護療法

ウイルスを排除するのではなく、肝臓の炎症を抑える薬や肝機能を改善させる薬を用いた治療法です。注射や経口薬での治療となり、抗ウイルス治療が適さない人や抗ウイルス治療ですべてのウイルスを排除できなかった人に行われています。

肝硬変や肝がんへと進行することを遅らせることができますが、完治が見込めないのが現状です。

C型肝炎の発見

C型肝炎の診断は、血液検査によるC型肝炎ウイルス抗体の有無とALT(GPT)、AST(GOT)の値で判断されます。しかし、C型肝炎ウイルスのキャリアは、血液検査で分からないこともあるので、特に以下にあてはまる人は要注意です。

  • 過去に肝機能の異常が見られた人
  • 過去に覚せい剤や麻薬の経験がある人
  • 1989年11月以前に輸血をしたことがある人

これらに当てはまる人は、血液検査の結果が正常であっても過信せずに、一度精密検査を受けてみることをおすすめします。

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