肝臓の細胞が炎症を起こし、肝細胞が破壊される肝炎。肝炎にはいくつかの種類があり、多くの場合A型、B型、C型などウイルスの型によって病名が分かれています。
A型肝炎の正しい知識を身につけ、適切な対処と予防法を覚えておきましょう。
A型肝炎の基礎知識
A型肝炎は、突然発症して短期間で治癒する急性肝炎です。通常5週間ほどで完治します。
肝炎の感染経路は「水・食品」を介する経路と「血液」を介する経路のふたつありますが、A型肝炎の感染経路は「水・食品」によるものです。感染者の便とともに排出されたA型肝炎ウイルスに汚染された水や食品を口にすることで感染、発症します。
日本では上下水道が概ね完備されているため、国内での感染はほぼありませんが、東南アジアなどの海外を訪れたときに感染するケースが多くなっています。A型肝炎は急性肝炎のおよそ4割を占め、1年間に日本で発症する数は5~20万人ほどです。
A型肝炎は、B型肝炎やC型肝炎とは異なり、慢性化することはほとんどないため、肝硬変や肝がんの心配もありません。しかし、ごく稀にA型肝炎から劇症肝炎を発症したり、急性心不全を起こすこともあるので、A型肝炎だからと侮らないようにしましょう。
A型肝炎の初期症状
A型肝炎は、ウイルスに感染していることを早期に発見して、病院で適切な治療を受ければ、心配はほとんどないと言われています。では、A型肝炎に感染、発症するとどのような症状が出るのでしょうか?
- 38度以上の高熱
- 吐き気
- 食欲不振
- 関節痛
- 倦怠感
潜伏期間は15~50日です。A型肝炎の症状は、風邪の症状によく似ていますが、これらの症状に続いて黄疸が出ると、A型肝炎の疑いが高まります。
A型肝炎の発見と治療
A型肝炎が疑われる場合には、病院で血液検査を受けてみましょう。A型肝炎ウイルス抗体を確認することで感染しているかどうかが分かります。また、ALT(GPT)とAST(GOT)の数値が高くなっていることも特徴です。
黄疸が現れている場合には、入院治療が必要になりますが、その後は自宅で安静にしていることで自然に治癒します。A型肝炎ウイルスによって異常が起こった肝細胞を再生させるためには、多くの血液が必要です。肝臓に少しでも多くの血液を送り込むためにも、安静にしていることが大切になってきます。
家族が感染してしまったら・・
二次感染を避けるために、これらのことをしっかりと実践して感染を未然に防ぎましょう。
- 食器や洗濯を別にする
- トイレ後や調理前、食事前など手洗いの徹底
A型肝炎予防法
A型肝炎は一度罹患すると抗体ができるため、再びA型肝炎になることはありません。とは言え、感染を避けるためにもできる限りの予防はしたいですね。
ワクチン接種
A型肝炎はHAVワクチンで予防することができます。しかし、ワクチン接種から抗体ができるまでに数週間の時間が必要なので、東南アジアやアフリカ、南米など感染する危険を訪れる場合には早めにワクチン接種を受けておくと安心ですね。
水や生ものに注意
海外では、水や氷、生ものなどを口にしないようにしましょう。また、旅先では手を洗うことができないことも多いので、アルコール除菌ができるスプレーやウェットティッシュなどを持ち歩くと便利ですよ。