肝臓の働き

胆汁の生成

血液中

胆汁は、その名前からして胆のうで作られていると思われがちですが、実は生成しているのは肝臓です。
胆汁は一日に約600ミリリットル、肝細胞で絶えず分泌されます。

それらは毛細血管に集められ胆のうに運ばれ、12分の1ほどまでに濃縮して貯蔵されます。
食事をすると胆のうは収縮し、十二指腸に流れ、そこで膵液と一緒になることで、初めて胆汁としての働きをみせます。
その働きとは、胆汁に含まれる胆汁酸と胆汁色素という成分に関わってきます。

胆汁酸は、脂肪を乳化して消化酵素の働きを助けます。
しかし脂肪が消化されると、吸収されにくい脂肪酸へと変化してしまいます。
そこで、さらに脂肪酸を小腸で吸収されやすく変化させる働きも胆汁にはがあるのです。
ここで分泌された胆汁酸のほとんどは、小腸で再び吸収されて肝臓に戻されます。

これは腸肝循環と呼ばれる働きで、胆汁はおよそ20回も再利用することができます。
胆汁色素は、赤血球が破壊されたときにできるヘモグロビンのたんぱく質の部分から、さらに切り離されたヘムという物質が基になっています。

ヘムは鉄原子なので、これに酸素が結びついて血液と一緒に全身に運ばれます。
しかし、その鉄原子が切り離されてしまうことで酸化が起こり、DNAや脂質を壊してしまいます。
それを防ぐために、ヘムは肝細胞で速やかに水に溶けやすいビリルビンに変えられ、大便や尿として排泄されます。
ビリルビンは黄色い色素なので、排泄物にもその色がつくのです。
もし肝臓に何か疾患があると、ビリルビンを処理する能力が落ちてしまいます。

そうなるとビリルビンは体外に出られず、血液と一緒に全身を廻ってしまいます。
これが眼球や皮膚などに黄疸が発生する原因です。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるくらい、病気になっても自覚症状の出ないことが多いです。

黄疸は眼球から出てくることが多いといわれているので、普段から眼球の色などを気にすると、肝臓の病気の早期発見に繋がるかもしれません。
もしも肝臓が正常に働いてくれなかったら、胆汁をつくることができなくなります。

そうなると、人間に絶対的に必要な脂肪を分解、吸収できなくなって、エンルギー源が足りなくなり、生きていくことができなくなってしまいます。
また、DNAさえも壊してしまうような悪質な物質の処理もできなくなってしまうので、すぐに病気になってしまいます。
胆汁の生成という面だけ見ても、肝臓が人間の身体の中で大きな役割を担っていることがわかります。

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