肝臓は人体で最も大きな臓器です。この大きな臓器は大変に我慢強い臓器とも言われますが、一体いつ頃から、そのようにタフに働いてくれるようになるのでしょうか。
体のエネルギーと肝臓の関係について考えてみましょう。
肝臓はエネルギー保管庫でもある
肝臓は食糧から得た栄養素を代謝して体内で利用できる形にする酵素を分泌したりアルコールなどの毒素を解毒したりしています。良く、肝臓を化学工場に例えたりするのはこのためです。
その他にも、肝臓の大切な働きとして一定量のエネルギーをグリコーゲンという形で貯蓄する役割もあります。
グリコーゲンは肝臓と、体全体の筋肉とに貯めることができます。ヒトは血中の糖を使いきると、次は肝臓と筋肉に貯めてあったグリコーゲンを取り出して血中に放出してエネルギーとして使います。
筋肉に貯められたグリコーゲンは筋肉でのみ使用され、全ての臓器で使えるのは肝臓に貯められたグリコーゲンだけです。
成長と共に充実する肝機能
この万能エネルギーのグリコーゲン、産まれたときから肝臓に貯められるわけではありません。成長と共に貯められる量が増えていきます。
小さな子供はまだ肝臓に充分にグリコーゲンが蓄えられないため、こまめな休養と栄養補給が必要になります。それがお昼寝とおやつに当たります。
小学校入学辺りを境に、お昼寝なしに、一日じゅう活動ができるようになりますよね。それはグリコーゲンの貯蓄量が充実してきた証拠です。この頃になると体もぐっと丈夫になり風邪をひく機会も減っていきますがそれもグリコーゲンの貯蓄量にも関係しています。
要するに、体力がついてきた、という時の体力にはグリコーゲンの働きの充実が含まれているのです。
食休みは肝臓の為にも良い習慣
そののちは体重ごとにグリコーゲンの貯蓄量が増えていき、成人ではおよそ8時間分のエネルギーを肝臓に蓄えることができると言われています。中には、体力が弱く疲れやすい体質の人がいますが、グリコーゲンの貯蓄には個人差がありますから、そのような人は栄養の摂取自体が少ないか、或いはグリコーゲンを貯めにくい体質の人である可能性があります。
グリコーゲンは眠っている間も生命活動の維持に使われています。安静時で8時間分ということですから、目を覚まして朝食を取ることの重要性が
分かるのではないでしょうか。
また、食後、肝臓は胃に入ってきた栄養の代謝に必要な酵素の分泌のため、フル稼働します。この時に肝臓自体でもグルコースを使って活動していますので、胃腸の働きのためだけでなく、肝臓の働きのためにも食休みというのは理に適った休息法なのです。