肝臓の悩み

好中球の増加が脂肪肝をNASHへ発展させる!

病院で検査

単なる脂肪肝が、NASH(ナッシュ)へと進展するには一定の段階が踏まれることが最近わかってきたようです。

前回はその第1段階、脂肪肝についている中性脂肪が活性酸素の増加(酸化ストレス)によって過酸化脂質に変化し、肝臓を傷めやすい状態になるということについて書きました。

今回は過酸化脂質によって肝臓が傷められやすくなってから、どうやってNASHへと発展していくのか。
その第2段階についてふれていきたいと思います。

活性酸素によって酸化された脂質・中性脂肪は、過酸化脂質と呼ばれるものに変異し、血管の壁や
内側に付着して血流を悪くしたり血管の壁を傷つけやすくしたりします。

古くなった油が酸化するように、脂肪肝がためこんでいる中性脂肪も酸化していきます。

ここで悪循環が起こりはじめます。

中性脂肪が過酸化脂質に変化する過程で、使われるのが活性酸素です。
なんらかの体の異常で鉄分が体内に多い状態だと活性酸素が多く発生してしまい、中性脂肪が過酸化脂質に変化しやすくなるのですが、過酸化脂質が原因で活性酸素が発生されるようになるのです。

つまり中性脂肪が過酸化脂質に変化しやすい方は、通常の状態よりもさらに活性酸素が発生しやすい状態になるということです。

この流れは、遺伝子の変異→鉄過剰→活性酸素の増加(酸化ストレス)→脂肪肝についた脂肪の酸化→過酸化脂質の増加→活性酸素の増加(酸化ストレス)という流れにあらわすことができます。

つまり、脂肪肝の方が過酸化脂質に変化しやすい体質を持つと、鉄分と過酸化脂質から発生する活性酸素によって、二重の酸化ストレスに苦しめられることになります。

過酸化脂質から発生する活性酸素には、酸化ストレスによって「好中球が増加」することが
大きな原因のようです。

酸化ストレスによる鉄過剰で、過酸化脂質が体内に増えてくると、それを減らそうとして白血球である「好中球」が増加しはじめます。
好中球は過酸化脂質をエサとしており、過酸化脂質をとりこんで分解してくれます。

一見、これはとても喜ばしいことに思えるのですが、これが肝臓を傷める原因となっているようなのです。

好中球は過酸化脂質を分解する時に、活性酸素と過酸化水素をつくるのです。

つまり脂肪肝についた中性脂肪が過酸化脂質に変わると、鉄分から活性酸素が発生し、過酸化脂質を好中球が分解するときに活性酸素が発生するという、二重の活性酸素発生の原因をつくってしまうのです。

好中球が、過酸化脂質を分解している時に出る過酸化水素にも問題があります。
好中球が過酸化脂質を分解するときにつくられる過酸化水素は、塩化物イオンとむすびついて次亜塩素酸という有害物質をつくりだしてしまいます。

次亜塩素酸は漂白剤や殺菌剤、消毒剤としても使われている成分です。
カビとり剤としても使われることがあります。
この成分は好中球そのものを傷つけてしまう、毒性の高い成分です。

つまり鉄過剰になり活性酸素を生みやすくなり、脂肪肝のたまった脂肪が過酸化脂質に変わり、それを分解しようとする好中球が活性酸素を生みやすくなります。
さらには肝臓や体内の成分を傷つける、有毒物質が発生しやすくなるのです。

また肝臓や体内にある成分を傷つけやすくなることで、肝臓が線維化を起こしてNASHにつながりやすくなり、状態が悪化すると肝硬変や肝臓がんに発展するリスクが高まっていきます。

このような流れで酸化ストレスが、特に脂肪肝を持つ方に悪影響を及ぼしているのだというのが
研究結果ではわかってきているようです。

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