酸化ストレスという言葉をご存じでしょうか。
体の中に発生する活性酸素と、それを無害化する抗酸化作用との均衡が乱れた状態を「酸化ストレス」と呼びます。
酸化ストレスにさらされている場合、抗酸化作用が活性酸素のはたらきを抑えきれない状態に
おちいり、活性酸素による悪影響が出やすくなっています。
抗酸化作用が対処しきれない、余分な活性酸素が多い状態では、本来活躍するべきではない場所で
活性酸素が多く働いてしまいます。
具体的には、体内にある栄養素やDNAを破壊したり、それらに傷をつけてしまいやすくなったり
します。
この酸化ストレスが、肝臓に大きな原因があることが最近わかってきました。
肝臓が原因でおこる酸化ストレスと、そこからNASHに発展するには大きくわけて2段階あると
現在では考えられています。
1段階目では、鉄過剰により活性酸素が増加し、脂肪肝についた中性脂肪が過酸化脂質へ
発展します。
2段階目では、過酸化脂質を分解するために好中球が増加し、脂肪肝が肝炎に発展
(NASHへ発展)します。
この2段階について、具体的に肝臓がどのように変化していくのかを説明すると、
下記のようになるようです。
鉄過剰というのは、ヘモクロマトーシスという病名で呼ばれることが多いようです。
先天的、または後天的な遺伝子の変異により、鉄が体内に過剰に蓄積されることがあるようです。
鉄が体内で過剰に増え始めると鉄が酸化反応を起こそうとするため、それに反応して活性酸素も
作られやすくなります。
“鉄がさびる”時に酸素が必要になり、その過程で活性酸素が発生しやすくなるのです。
鉄過剰になり、酸化ストレスによって活性酸素が活躍する状態になると、活性酸素は細胞にある
脂質を酸化しはじめます。
自宅で揚げ物料理をしたあと、使った油が古くなり黒ずんでいるのを見たことがある方は多いと
思います。
同じように脂質も鉄と同じように酸化するのです。
この脂質が酸化する時に、体内にある活性酸素が多く使われます。
特に肝臓に中性脂肪がたまっている「脂肪肝」の方は、酸化する脂質が多い為、活性酸素によって
できる過酸化脂質の量も自然と多くなるのです。
これがNASHになる前に起こりやすい、肝臓の状態です。
つまりNASHになる前段階として、
脂肪肝になる
→何らかの遺伝子変異や体の変化によって、体内の鉄分が多い状態である
→鉄が酸化することで、活性酸素が増加する
→活性酸素によって、たまっている中性脂肪が酸化する
→過酸化脂質が増えて、肝臓を痛めやすい状態になる、
という構造が発生していることが考えられます。
この段階が進むと、NASHへ発展する2段階目へとうつっていきます。