肝臓は「沈黙の臓器」といわれているように、肝機能に異常があっても
これといった自覚症状が現れにくいことが特徴です。
健康診断や何かの検査のついでにでも、肝機能障害が発見されなければ、ある日突然牙をむかれたように感じられることでしょう。
肝臓の病気で、怖いのは肝硬変や肝臓がんです。
これらは命に関わる病で、性急な対応が必要となります。
また、肝臓がんで死亡した人の80%以上が肝硬変を併発していたとされ、両者には密接な関係が
あると思われます。
2000年に肝臓がんと肝硬変で死亡した人は4万人超。
近年はやや減少傾向にあり、もう少し数は減っています。
その要因は、ウイルス性による肝炎に効果のある薬剤の開発などで、アルコール性肝炎による死亡者が減少しているとはいえません。
アルコール性の肝障害はアルコールの過剰摂取を主因とし、喫煙や過度のストレス、疲労、その他の生活習慣が関連し
アルコール性脂肪肝→アルコール性肝炎→アルコール性肝硬変や肝臓がんと進みます。
肝障害の進行は必ずしも、血液検査によるγ-GTPの値と一致しません。
γ-GTP値が100IU/L以下の異常ではアルコール性肝障害や脂肪肝、
慢性肝炎の可能性があります。
さらに、肝臓がんや肝硬変でもこのような数値が出ることがあります。
γ-GTPの正常値を大幅に上回る、500IU/L以上では、急性アルコール肝炎や閉塞性黄疸、肝内胆汁うっ帯の可能性があります。
肝障害の初期の症状はだるい、疲れやすいなどがあげられますが、自覚症状やその感じ方には個人差があるので、気付かない人も多くいます。
肝臓に中性脂肪がたまり、フォアグラ状態に膨れた脂肪肝の状態でも、ちょっと最近疲れやすいかも・・・といった程度の自覚症状しかないことも多いのです。
これが、沈黙の臓器といわれる肝臓の怖いところです。
では、なぜ、アルコールの影響が肝臓に現れるのか、肝臓の働きとともに見てみたいと思います。